話題の「マネー・ローンダリング」とは?

民主党の小沢幹事長の政治資金団体の土地購入問題に絡んで、にわかに『マネー・ローンダリング』が話題になっています。今回は重加算税とこのマネー・ローンダリングの関係についてご紹介しましょう。

マネロンは簡単に説明すると、犯罪や不正な経済行為によって得たお金を普通に使えるような「表」のお金にすることです。「不正な経済行為」とは例えば、麻薬譲渡人が取得した譲渡代金をあたかも正当な商品を譲渡した代金であるかのように装うため売買契約書を作成する行為、あるいは借入金、預り金等を装ってその旨の書類を作成し、あたかも正当な取引により得た資金であるかのように偽装する行為がその典型とされています。

今回の裏献金が事実だとすれば、不正に受け取ったお金を小沢幹事長の個人資金と混ぜて土地購入した行為も不正な経済行為といえるでしょう。特に今回の土地購入問題は、非課税の政治資金で土地購入しているという問題も含んでいます。もっともっと重加算税、重加算税です。

今後、事実が明らかになってくればどのようなペナルティーが適当かの判断も出来るとは思うのですが……。こうしたマネロンの対処法として重加算税を拡大解釈して適用するのはどうでしょうか。資金移動を繰り返して出所を不明瞭にしている資金や寄付を装って資金洗浄を行った資金に重加算税をかけてみるのです。

重加算税の最高税率は40%ですが、国民の血税を使った不正行為についてはもっと高い重加算税を上回るようなペナルティーを設定してもいいと思います。今後も重加算税を学ぶことで、お金の大切さ、税金の意義や重要性を学んでいきたいと思います。

鳩山家の子ども手当について

鳩山首相の献金問題が山場を迎えつつあります。東京地検特捜部は経理担当だった元公設秘書を政治資金規正法違反罪で在宅起訴、会計責任者だった元政策秘書を規正法違反(重大な過失)の罪で略式起訴。鳩山首相本人については関与はなかったと判断、不起訴となりました。これまでも政治資金については多くの政治家が問題を指摘されたことがありましたが、今回の幕引きも同様に秘書の一存ということで決着しそうです。

しかしながら、今回の資金問題はもう一つ別の側面を持つと考えられるのではないでしょうか。

鳩山首相のお母さんが、首相や弟の鳩山邦夫・元総務相の他に首相の姉にも資金提供しており、政治家ではない姉へも資金提供があったことから、相続税対策のための資金提供だった可能性があるという報道がありました。

つまり、今回の資金提供は政治資金目的ではなく「生前贈与」であり、相続税(贈与税)対策のための資金提供であった可能性が高いのです。金額の大きさ、仮装隠蔽の事実から今回の資金提供は重加算税の対象となるべき案件ではないかと考えられます。

重加算税は、『納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたとき』と国税通則法に定められています。今回のケースは、少なくとも過去数年に渡って贈与税を申告してこなかったわけですから、十分に重加算税を課せられてもいいのではないかと思います。

重加算税の判断基準とは?

前回ご紹介した「国税通則法第68条」に続いて、今回も重加算税を課せられる判断基準についてご説明していきたいと思います。重加算税の対象となる「仮装・隠蔽」と判断されるケースとはどのような場合なのでしょうか。以下に重加算税の対象となる「仮装・隠蔽」と判断されるケースを列挙します。

[重加算税の判断基準]
(1.)二重帳簿の作成
(2.)帳簿及び書類の隠蔽、虚偽記載
(3.)税務申告で提出する証明書の改ざん、虚偽申請による証明書等の交付受理
(4.)簿外資産に係る利息収入、賃貸料収入等を計上していなかった場合
(5.)簿外資金で役員賞与その他の費用を支出していた場合
(6.)同族会社であることを画すために、架空の者や単なる名義人を株主に記載して「非同族会社」として申告していた場合
こうしたケースは、重加算税の対象となる「仮装・隠蔽」と判断されることになります。

次に、重加算税の対象となる「仮装・隠蔽」と判断されない場合を見ておきましょう。重加算税の対象とならない大前提として、証しょう書類等の破棄・隠匿や改ざんなどの不正行為が行われていないことが必要となりますが、それに加えて以下の要件が満たされていることが必要です。

◆売上などの収入の計上を次期に繰り延べている際に、きちんと翌事業年度の収益に計上されていることが確認された場合
◆経費の繰上計上をしている場合にその経費が翌事業年度に支出されたことが確認された場合。
◆決算の基礎となった帳簿に、交際費や寄附金のような損金算入限度額のある費用を、他の費用科目に計上している場合

重加算税~国税通則法第68条

重加算税は国税通則法第68条に定められている附帯税のひとつです。その重加算税が定められている国税通則法第68条の条文をご紹介しましょう。

『第65条第1項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(同条第5項の規定の適用がある場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠ぺいし、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠ぺいし、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に100分の35の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。』(国税通則法第68条)

重加算税は国税通則法65条(過少申告加算税)ないし67条(不納付加算税)に規定する各種の加算税を課すべき納税義務違反が、事実の隠ぺい又は仮装という不正な方法に基づいて行われた場合に、違反者に対して課されるものと定められています。重加算税は、「隠ぺい又は仮装による納税義務違反の発生を防止すること」の措置と考えられていることから、納税者が「隠ぺい又は仮装」について、租税を免れる目的ないし過少申告であるということの自覚があると判断された場合に重加算税が課せられると定められています。

付帯税のまとめ

重加算税は「付帯税(ふたいぜい)」のひとつです。付帯税とは納税者が法律に定められた申告期限までに申告書を提出しなかった場合等に、本来納付すべき税金以外に課されるもので、付帯税には重加算税意外にも以下の種類があります。

<重加算税以外の付帯税>「過少申告加算税」
確定申告書を提出した後から、修正申告書の提出又は更正によって追加税額が生じた場合に課税されますが、税務調査などにより指摘されたのではなく、自主的に新国内用の誤りに気づき修正申告を行った場合には適用されません。

<重加算税以外の付帯税>「無申告加算税」
期限内に申告しなかった場合、もしくは期限後に遅れて申告した場合で、納付するべき税額があった場合に課税されます。ただし申告が出来なかった正当な理由があると認定された場合には、この加算税はかかりません。

<重加算税以外の付帯税>「重加算税」
無申告、過少申告、不納付の場合において、意図的に事実の全部もしくは一部を隠ぺい又は仮装等を行った(と認められた)場合、いわば大掛かりな脱税の場合に重加算税が課税されます。この場合が重加算税に該当するのです。

<重加算税以外の付帯税>「不納付加算税」
給与等の源泉徴収税額を納付期限内に納めなかった場合に課税されます。

<重加算税以外の付帯税>「利子税」
税金を納付期限までに納めることができない場合で、届出により所得税や相続税等の延納が認められた場合や、法人税で申告書の提出期限の延長が認められた場合、又災害などにより申告書の提出期限を延長する場合、延納日数にあわせてこの利子税がかかります。

<重加算税以外の付帯税>「延滞税」
法定納付期限までに税金の一部又は全部を納付しなかった場合に課税されるのが延滞税。原則として法定納期限の翌日から納付するまでの日数に応じてかかる「利息」に相当する税金です。

最近のニュースから・・・

先日、英会話学校「NOVA」の元社長猿橋被告の裁判に関するニュースがあったのをご存知でしょうか。

『ワンマン元社長ぼうぜん…NOVA猿橋被告に実刑判決
「会社のため」無罪主張退ける

英会話学校「NOVA」を巡る社員積立金横領事件で、大阪地裁は26日、元社長・猿橋望被告(57)を懲役3年6月の実刑とした。~(以下省略)』
(2009年8月27日|読売新聞より引用抜粋)

NOVAの社員積立金横領事件は大きく報道され、猿橋被告のワンマンぶりや社長室の隠し部屋なども話題になったので覚えていらっしゃる方も多いと思います。しかし、先立ってそのNOVAの事業を引き継いだ会社が5億円の所得隠しで、追徴課税は重加算税を含め約1億円にのぼるという報道があったのをご存知でしょうか。

『ジー社会長、5億円所得隠し NOVA英会話事業を継承

07年に経営破綻した大手英会話学校NOVAの事業を引き継いだジー・コミュニケーション(名古屋市北区)の稲吉正樹会長が、名古屋国税局の税務調査を受け、約5億円の所得隠しを指摘されたことが2日分かった。追徴課税は重加算税を含め約1億円とみられる。~(以下省略)』
(2009年8月2日配信|共同通信より引用抜粋)

ジー・コミュニケーションについては、NOVAの事業を引き継いだ際に、元受講生への「救済策」として受講料を割り引く優遇制度を適用し、割引分は同社の「損金」として計上してきた。しかし、優遇制度の対象とならない新規の受講生の受講料についても同様の会計処理をしていることが指摘されており、損金を過大に計上しているとのことです。

審査請求とは?

重加算税を勉強していく上で、「審査請求」というものも一緒に学んでいかないといけません。審査請求とは、処分を行った行政庁(処分庁)や不作為に関係する行政庁(不作為庁)とは別の処分庁に対して行われる不服申立てのことです。重加算税はペナルティと課されるため、税率も非常に高く設定されています。重加算税の課税処分に不服がある場合には、速やかに審査請求を行う必要があります。

最近のニュースでこの重加算税と審査請求に関わるものがあったので一部ご紹介しましょう。

「吉本興業が審査請求へ 国税局の課税処分受け」
『吉本興業(大阪市)は21日、同社と子会社に対する大阪、東京の両国税局の税務調査による課税処分について「事実認定の内容や根拠は極めて不明確で、納得できない」として、国税不服審判所に審査請求する方針を明らかにした。

吉本興業によると、同社は6月26日に大阪国税局から、子会社の「吉本音楽出版」(東京)は5月30日に東京国税局から、それぞれ更正通知書を受領した。

処分内容は「審査請求との関係から明らかにできない」としているが、関係者によると、吉本興業は2003年以前にテレビ番組「吉本新喜劇」の制作に関して申告漏れの指摘を受けたとみられる。

音楽出版社については、吉本興業が5月、04年以前の取引先への外注費をめぐり約3千万円の所得隠しを指摘される見通しとなったと発表。追徴税額は重加算税など計約2千万円とみられ、同社は「おおむねそうなった」としている。』
(共同通信;7/22より引用抜粋)
このように、申告漏れと国税局に指摘された場合でも、事実認定の解釈に異議がある場合には審査請求を行うことができます。

重加算税関係のニュース

最近の重加算税に関するニュースをご紹介しましょう。

<阪神高速5億円申告漏れ、所得隠しも・・・大阪国税局指摘>
『阪神高速道路会社(大阪市中央区)は26日、大阪国税局の税務調査を受け、2008年3月期までの2年半に約5億円の申告漏れを指摘され、2000万円の重加算税を含む約2億円を追徴課税(更正処分)されたと発表した。同社は、指摘に従って納付するという。

同社によると、07年度に発注した調査業務の経費のうち、34件分について、実際には08年度に調査報告書を受け取っていたため、不適切と指摘された。うち6件(1億5000万円)分は意図的に経費を前倒しした所得隠しに当たるとして重加算税の対象になった。』
(2009年6月27日 読売新聞より引用)

このケースにおける重加算税のポイントは、期をまたいだ費用の計上に問題があったことです。
経費に計上する場合、対価(この場合は調査報告書)を「いつ受け取ったか」ということと、費用を「いつ支払ったか」ということがポイントになります。前払いで費用を支払っている場合には「前払費用勘定」というもので、決算時に控除しなければなりません。この「勘定科目」は簿記3級で習うものなのですが、けっこう計算が難しいんですよねぇ・・・。

だからといって、意図的に費用を前倒しして所得隠しと認定されてしまうと、今回のケースのように重加算税を課されてしまうことにもなりかねませんので、注意が必要です。重加算税を課されてしまっては元も子もないのできちんとした対応を心がけましょう。

重加算税適用基準

「重加算税」とは、税務署(又は国税庁査察部)による税務調査によって、悪質な所得隠しがあったと認定されると、その所得隠しと認定された部分は本来支払うべき税金に加え、いわば罰金に当たる重加算税を上乗せして支払わねばならないというものです。

しかし、この重加算税を課せられる基準となる、所得額や税額計算の基礎となる事実の全部または一部を「隠蔽し、または仮装し」とされる「隠蔽、仮装」と認定される基準は数値化されていません。

つまり、極論すると重加算税と認定されるかどうかというのは税務署の気持ちひとつということになります。
しかし、ある程度の重加算税と認定される判断基準は示されており具体的には、「二重帳簿の作成、請求書や領収書の破棄や隠匿、法人税であれば簿外資産から役員賞与その他の費用を支出しているなど」です。

上記以外にも、「(例外あり)事業の経営のほか売買、賃貸借などの取引を本人以外の名義または架空名義で行っていることや、所得の源泉となる株式や不動産などを、本人以外の名義または架空名義で所有していることなど」が重加算税と認定される基準とされています。

しかし、中小企業の税務調査では、問題点の1つや2つは出てくることが多々あります。そうした中で、重大な問題点が発見された場合に、別の部分で申告漏れを認めるなどして重加算税を逃れるような方法が通常行われています。つまり、重加算税は交渉過程におけるカードのひとつとして使われているのです。

マネー・ローンダリング

特にこの不況以前にも少し紹介した「資金洗浄;マネー・ローンダリング(Money laundering)」ですが、今回はこのマネー・ローンダリング(以下マネロンと省略)と税金の関係についてご紹介していきましょう。

マネロンは簡単に説明すると、犯罪や不正な経済行為によって得たお金を普通に使えるような「表」のお金にすることです。
具体的な話で説明すると例えば、麻薬譲渡人が取得した譲渡代金をあたかも正当な商品を譲渡した代金であるかのように装うため売買契約書を作成する行為、あるいは借入金、預り金等を装ってその旨の書類を作成し、あたかも正当な取引により得た資金であるかのように偽装する行為がその典型とされています。

こうして不正に得られたお金は新たな犯罪の資金源として利用されたりするので、徹底的な取締りが必要です。
しかし、資金洗浄されて税金もあたかも適正に支払われていると不正な資金の流れを止めることが難しいのが現状です。

こうしたマネロンの対処法として重加算税を拡大解釈して適用するのはどうでしょうか。不正な送金を繰り返して出所を不明瞭にしている資金や寄付を装って資金洗浄を行った資金に重加算税をかけてみるのはどうでしょうか。

重加算税の最高税率は40%ですが、もっと高くして手元にお金が残らないように意地悪するのもいいんじゃないかと思います。

重加算税を学ぶことで、お金の大切さ、税金の意義や重要性を学んでいきたいと思います。

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